きらめきの里・園だより≪エピソード集≫ 2019年10月号より
2020.09.26

臨床発達心理士 田野準子・看護師 武部裕子

★今月のエピソード★

★豆遊びが苦手なAちゃん。

他のクラスのエアポリンに少し参加して満足すると、カウントダウンで気持ちを切り替えて豆遊びに参加できましたが、豆遊びが終わりに近づくと再びホールに出たいと言って泣き出しました。

「豆遊びはもう限界なのかな」と思い、Aちゃんの好きな歌を歌ったり、お散歩に誘いましたが、何を言っても泣きやみません。

どうして泣いているのか考えに考え、最初にエアポリンをしたことを思い出し、「もしかして、エアポリンしたくて泣いてるの?」と聞くと。。。ピタっと泣き止みました!

すでにエアポリンは片付けられていたので、「もうエアポリンおしまいだって」と伝えると、「いいよ」とAちゃんは返事をし、ニコニコ笑いながら部屋に戻ることができました!

「私はエアポリンがしたいのー!」という心の叫びを言い当てられると気持ちを収めることができ、さらにエアポリンがないことにも納得できたAちゃんに、心の成長を感じました。最近はクリニックの診察で石川ドクターに図星を言われると笑いだすそうです☆

・・・別の日、Aちゃんの苦手な紙遊びがありました。

水遊びが好きなAちゃん用に、タライに水を張って新聞紙を入れていくと、新聞紙が肌に貼りつくのが嫌で教室から出てしまいました。作戦失敗です。

でもAちゃんは教室を出てすぐに“戻る”と言いました。Aちゃんの声に従って教室に戻ると泣きだす様子から、「もどろうかな。。でもドキドキする~!」という心の声が聞こえてきました。

そこで「ドキドキするから『そ~っと』ただいましてみようか」と声をかけ、「そ~っと、そ~っと。。」と言いながら教室に入ると。。。Aちゃんは笑い出し、笑った勢いにのって紙遊びに参加することができました!

苦手な活動の時にホールに避難することは、楡式療育の「タイムアウト」だと考えています。ホールで気持ちを立て直し、自分のタイミングで教室に戻ると言えるようになったAちゃん。

一見、甘やかしのように見える関わりですが、「苦手な活動はドキドキする」という気持ちをたっぷり受け止められたAちゃんは、「苦手だけどがんばる」という気持ちも育ってきています。

 武部 裕子

★おまじない効果

ホールで遊んでいたBくん。Cくんと喧嘩の後「お腹痛い!」と言い出しました。

職員:「大変!Bくんはお腹が痛いんだ!よしよし・・・治してあげる!痛いの痛いの飛んでけ~!よし!絆創膏を着けよう。」と絆創膏をとり出すと

Bくん:「自分で!」と言い、自分でおへその辺りに絆創膏を貼りました。

職員:「良かった。これで大丈夫。」

Bくんは、直ぐに治って、またホールで元気に追いかけっこをして遊びました。

良かったね・・・。

※心の痛みを「痛い」と子どもが言った時、その言葉をしっかり受け止めた上で、『これで大丈夫』というお呪いの力(絶大!)を利用する(=ここでは、絆創膏を貼ってあげるor自分で貼らせる)と、元気になれる子がいっぱい!います。お試しあれ!

★反対の言葉効果

『自分でやる!自分で決める!』と自己主張し始める時期。Bくんの苦手な浴室あそびの着替え時・・・ママの上手な声掛けがあっぱれでした!

ママ:「いいよ~水着着なくても。着る?」

Bくん:「うん」

ママ:「え~!着るの?いいよ~。水着の前にパンツはく?はかなくていいよ~」

Bくん:「はく!」

・・・ちょっとだけのママの介助で、Bくんは自分で水着を着ました!

ママの平然とした関わり方に乗せられて、Bくんは初めて浴室に水着を着て行くことができました!

※親力アップしたママのエピソードです♥

1年前は、ママがBくんの手に乗せられ巻き込まれ疲労困憊していましたが、今はママの『手』にBくんが乗せられています。Bくんのママあっぱれ!