臨床発達心理士 田野準子
新入園の11名のお子さんを迎えて、れもんクラス14名・ばななクラス5名・いちごクラス8名・すいかクラス8名・・・計35名で今年度がスタートして1か月。
今月から2時降園。お母さん達の昼食・休憩時間が12:30~13:15になり、ママと離れて過ごす中で、子ども達は、職員や友達と様々な経験を重ねて成長していきます。
今年度も園だよりで、職員やお母さん達の『好い事作り』の上手くいった♡エピソードをお伝えしていきます。
★『好い事作り療法』『図星を言う』ってなあに?
楡の会の職員が実践している『好い事作り療法』(楡式療育法)は、石川名誉院長が提唱した心理療法を用いた子育て方法です。
『図星を言う』とは、子どもの思いを受け止めて(受容し)、子どもの心を推察して言い当てる(代弁する)事です。
受容を先行して、その後で子どもにやってほしい事を提案して、子どもがうまく乗ってくれるように図る事が基本です。この受容をベースにした心理療法を用いた様々な方法で、職員は日々療育をしています。
- 1. カウントダウン
- 2. 二つ先のアナウンス
- 3. 褒める・OKの声かけ
- 4. ~しようの声かけ(ダメ言わず肯定文で)
- 5. やっても無害に
- 6. 好きな物の利用etc
・・・これらの色々な技を職員と一緒にお母さん、お父さんも使って、お子さんの成長を促し楽しく子育てしましょう!
子どもの発達についての分り易い説明と、『好い事作り』のエピソーソが満載の
『子育て親育ち読本Ⅰ~Ⅲ』は全職員の必読書です。事務室で購入できます。
★★★今月のエピソード★★★
1・トイレに向かう事を嫌がりホールに座り込んでいたAちゃん。「一緒に行こう~」とママが声をかけますがAちゃんは動きません。ママはピョンピョンカエルになって誘います・・・が、Aちゃんは動きません。
ママはAちゃんを膝に乗せて「お舟をこいで~♪」と移動・・・が、また座り込み。
そこで、ママがお馬の親子♫でハイハイを始めると、Aちゃんはママの下に潜り込み一緒にハイハイを始めました。
このスタイルで、Aちゃんは楽しくトイレに到着♪~
ママは「やった~!自分で来たね!」とAちゃんを褒めました。
Aちゃんが自分でトイレに行って欲しい!と願ったママのあの手この手・・・楽しく大成功でした!
『子育て親育ち読本』は一生モノのバイブル!と言って下さった、素敵なAちゃんのママの『上手に乗せちゃう~』の、実践の一コマでした。
親子でいっぱい楽しく『好い事作り』して下さい。
2・昨年度、散歩の時は風が吹いても怖くて「ママ!抱っこ!」と言って歩かなかったBくん。今年度初の『お散歩』のアナウンスに、「コワイ!行かない!」を連発していました。
でも、Bくんは1年間、ママといっぱい遊び、たっぷり受け止められて成長してきました。安心できれば、頑張れる土台は十分にできています。
そこで職員は「ママと一緒だから大丈夫!」「大丈夫~♪大丈夫~♪」と歌にして繰り返しコールをし、その勢いに乗れるように声かけ誘うと、Bくんは、カラー帽を拒まずにかぶり「出発!」の掛け声で玄関まで自分で歩いて行きました。
お気に入りの新しい黄色の靴を履き、英語の発音が好きなBくんは、得意げに「イエロー」と言いました。
職員は「イエローカッコいい~!イエローの靴ならママと手を繋いでいっぱい歩ける!!」と繰り返しBくんの『(出来る!)積もり』を作り・・・初めて!公園迄ママと手を繋ぎ楽しく歩いて行くことが出来ました!
そして、公園でいっぱい遊び、帰りもママと職員と手を繋ぎ、先を歩くお友達の名前を呼びながら、笑顔で歩いて帰ってきました!
・・・安心を作る声かけを続け、勢いに乗せ、好きな英語の言葉に乗せて、積もりを作り、Bくんの成功体験と達成感を作ることができました。
3・「分離の時間があるのが不安で、朝登園したがらなくて~困っているんですけど・・・」と、Cちゃんのママから相談がありました。
そこで、好きな物を利用して、不安を乗り越え安心を作ろう!と考え『Cちゃんが大好きなプリキュアの本を持って微笑む、大好きなD先生の写真』を撮り、それを可愛いカードにしました。
『(ママがいないと不安だけど、代わりにこれ💛があるよ=)安心グッズ』の利用をママに説明・提案し、分離の時に、声掛けと共にCちゃんに渡してもらいました。
・・・分離の時は、このカードを少しだけ利用すれば、Cちゃんはママの帰りを待って安心して過ごせるようになり、朝の登園渋りもなくなりました!大成功!