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『・・・自分がしたい理想と出来ていない現実のズレ、例えば「スプーンを上手に持ちたいのにできない」これが矛盾。この矛盾を乗り越えることが発達。乗り越えて自己表現をする。全ての子が一緒、共通。子どもが発達上のどの段階で頑張っているのか見極める。積み木を積む。積み木は崩れる。失敗しても受けとめ、またチャレンジできるように共感、応援する。子どもは(大人の応援で)つまずきを乗り越え立ち直りの力をつけて成長していく・・・』これは『好い事作り療法』と並び、療育の柱になっている白石正久氏(特別支援教育学者)の著書の中にある一節です。
子ども達は矛盾を感じた時、様々な言動や表現をします。親にとって困った、辛いと感じる場合も多くあります。
その時に「ああ、今この子は葛藤しているんだ~乗り越えて成長しようとしているんだね!」と、大変でも難しくても、親が温かく受け止め、認め、応援してあげる事が、わが子の成長に繋がります!親も頑張っている自分を褒め、リフレッシュできる方法を考えながら『好い事作り』の方法を継続して実践して下さることを願っています。
★★★今月のエピソード★★★
1.★★★「できること」を見つける★★★
お母さんの休憩時間、マグネットブロックを積み重ねて遊んでいたAくん。積み重ねている途中、Bくんに3回倒されることが続きました。そして4回目倒された時、いつもは穏やかなAくんが、大きな声を出して床を蹴って“悔しい”気持ちを全身で表現しました。
私が「悔しかったね!」とAくんの思いを言葉にしてから、Bくんに「一緒にAくんの応援しよう」と声を掛け、Aくんが納得できるまで積み重ねる事を一緒に見守った~そんなシーンがありました。
その時の様子をAくんのお母さんに伝えると「家ではお姉ちゃんが壊したりすることがないから、そういう場面はないよね~」「Aも悔しい気持ちを表現出来るんだ!!」という言葉が返ってきました。
表現することが出来た=表現する力が付いている=Aの成長!と感じて、理解し喜べる素敵なお母さん!
わが子の「できたこと」をお母さんが見つけることが、子どもの成長にとって大事なことだなぁ~母子通園を頑張ってきたお母さんだから、こうして成長を感じ受け止める事ができるんだよな~と改めて感じました。
高野 里美
2.★★★やっぱり ”図星を言う” が大事★★★
昼遊びが終わり、お片付け~♪の歌を聞いて、遊んでいた四角のマグフォーマーを長く繋げて片付け始めたCくん。40cmほどに繋げた物を崩さず片づけたい!籠に入れたい!でも籠が小さく入りません。D先生は直ぐに別の籠を取りに行きそれに入れる様に勧めましたが、それもまだ入らない。そこで更に大きな籠を持ってきました。今度は籠が大きくて隙間が出来、隙間なく入れて片付けたい!と求めるCくんの満足を作るため、D先生は残りの四角のマグフォーマーを持ってきました。隙間なくピッタリ入れることができてCくんは納得満足。ホッ!これで部屋に戻れるねと思ったら・・・誰もいないホールにまだ片づけられずに出ていたトランポリンがありました。あっ!まだやってなかった!とCくんは、トランポリンを跳び始めました。もうすぐ帰りの会の時間。みんながホールに出てくる前にトランポリンを片付けなくちゃならない状況。職員2人とママは「10跳んだらお部屋に行こう」とカウントを始めましたが、交渉失敗。あの手この手を考えていた時に、心理のE先生が通りかかり「Cくん、まだ飛びたいんだよね~」と図星を一言。手を広げたE先生の方をパッと見て、Cくんはその後5回跳んで笑顔でトランポリンを降り部屋に向かったのでした。やっぱり図星を言う!が基本、有効なんだよな~と実感の瞬間!降りて~と焦り願いながらの職員のカウントは、Cくんにはさせられ感満載で、全然響かないよね~ごめんねCくん。反省です。E先生Thank you~!やっぱり先ず“図星を言う”が大事!
田野 準子