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★★★ 今月のエピソード ★★★
1.思いを受け止めた上で、あの手この手で満足づくり
きらめきの里にきて半年ほどのAちゃん。最近、通園での生活の流れがわかってきて、“次にすること”を自分でもやってみようとする姿が増えています。その日は帰りの会の時間帯にセラピーが入っていました。セラピーを終えてお部屋に戻ると、みんなはちょうど帰りの会を終えて、玄関で靴も履き替えて、帰ったあと…、お部屋には誰もいませんでした。Aちゃんはそのお部屋を見て、「あんころもち~」と泣いて怒り始めました。
“あんころもち”はいつも帰りの会にみんなでやっている手遊び歌です。その様子にママと担任が「あんころもち、(みんなと)やりたかったね」と声をかけます。繰り返し、Aちゃんの気持ちを代弁しますが、それでも泣き止まないのでママと担任は、「一緒にあんころもちしよう」と、今度は3人で“あんころもち”の手遊び歌をやってみようと提案します。すると、ちょっとだけ泣き方が小さくなったように見えました。ママと担任は“Aちゃんの思いをまず受け止めよう”“思いを受け止めてから満足作ろう”と声を掛けます。今度は担任が「かわいいお姉さん、素敵なお顔をこれで拭いてみたらどうかしら」とハンカチを手渡します。ママが「あらいいね、それは素敵」と、あの手この手を駆使して、提案をしていると…。あら…少しずつ気持ちが落ち着いてきました。そして最後はママと手をつなぎ、先生に手を振って帰る姿がみえました。
★Aちゃんが生活の見通しがついてきて“次はこういうことがあるはず”と予測して過ごしていることは大きな成長です。そんなAちゃんの今だから“怒って泣いて訴えている” = “その行動には意味がある”のだと理解して、この場面ではAちゃんママもK先生もまずは行動の裏にある“Aちゃんの思い”を想像し、汲み取っています。そしてAちゃんの表現した、Aちゃん語の「あんころもち~」からそのことばの裏にある“いっしょにみんなといつものあんころもちがしたかった”という思いを汲み取って、代弁しています。
まずは“子どもの思いを受け止める”といったことを大前提の土台とし、あの手この手を用いて提案しています。提案をしながら子どもの反応をみて、また提案します。そして“最後は子どもの満足づくり”を大切にするといった『好い事作り療法』を軸として、同じ姿勢で大人が受け止める・関わることを通じて、子どもは身近な人にわかってもらえる体験をします。そうした体験を通じ、身近な人へ安心感を抱き、わかってくれる人がそばにいてくれるといった安心して過ごせる環境の中で、伸び伸びと自分の気持ちを表現しながら、自分らしく成長できるって素敵…ということを再確認させていただいた微笑ましい1コマでした💛
大山 麻里子
2.“特別に”で、『上手くいった』ママのエピソード
お片付けの時間に、玩具を持って「これ持って帰りたい!」「おしまいにしたくない!」と言っているBくん。気持を代弁されたり、カウントでおしまいを提案されますが、それでもなかなか納得出来ずにいます。そこでママは、「じゃあ、今日は特別におうちから持ってきた消防車を持ってもいいよ」と声をかけます。すると、“それならOK!”と提案に乗り、自分のリュックから大好きな消防車のミニカーを取り出して持つことで、Bくんは遊びを終えることが出来ました!消防車のミニカーは、元々登園時に必ず手に持っていたのが、今ではリュックに入っていればOKとなったBくんの安心グッズです。ここぞという時にだけ、“特別に”安心グッズを活用して、Bくんが気持ちを切り替えるきっかけを上手に作ったBくんママ✨子育てサポート講座で学んだ、“特別に~してもらった感”を作ることで子どもを乗せるという方法を実践して、大成功☆Bくんもママもニッコリ💛でした!!
佐川 ゆり