楡の会式療育 知恵袋④ ・・・あっぱれ!ママの活躍エピソード その1・・・
2016.03.07

★☆★「代弁=わかってもらえてる満足感・達成感=好い行動を作る」!★☆★

楡式療育の目指すところは・・・子どもの思いを受容して、得手不得手の理解の上で、子どもにとって良い手本を示し、好ましい行動を作ることにあります。 その具体的な関わり方は・・・

1・図星を言う・代弁する=子どものわかってもらえてる感を育む

2・二つ先の行動提示=視覚聴覚にわかり易くアナウンスする=見通しが持て安心を作る

3・オッケー(褒める)声かけ=子どもに、認められている感を育む

4・~しようの声かけ=提案・選択肢の利用=反発の抑制=ダメの声かけ・否定されずに自

分で好い事ができた感を育む

5・カウントダウン=満足先行、我慢させないで好い事できた感を育む

6・安心グッズ・好きな物の利用=安心・心の安定を作る=気持ちの切り替えを促す・・・などなど

このような受容をベースとした関わり方が、次のやる気・意欲を育てる・・・つまり発達を促す事になります。これらを利用して、お子さんの健やかな発達を促している、素敵なお母さんたちのエピソードをお伝えします。

①「わかり易く伝えれば、片付けできるんだ!」と気付いたママの話。

楡では片付けするのに、家で「片付けなさい」って言ってもしない。「全く~」と思っていた。でも、Aの好きな可愛い缶があって、隣の部屋から持って来た時、「片付けて」と言うと、ちゃんと元あった場所に片付けた・・・。クリニックに行った時も片付けるけど、考えたらおもちゃは少ないし、片付ける場所が決まっている。家で「片付けな~」とAに言う時、積み木やおもちゃがいっぱい出ている。楡では、かごや箱を出して「ここにミニカーお片付けね」と声かけするからできるんだ!」と思って、試しに家で大きな車を渡して、「これ、ここに片付けて~」と言ったらちゃんと片付けたの。

「片付けて~」と言っても、雑然としていたら大人でもそうだけど、どこから片付けていいかわからないもね。わかり易く、「これはここ」って言ってやればいいんだ~私の言い方が悪かったのだな~ってわかった。・・・『わかり易さ』が大事って気づいたお母さん、素敵です!

②「できる事をやらせればいい。できるって信じる事が大切!」と気付いたママの話。

クラスの中で他の子ができる事が、我が子ができないと比べてしまう。(どうしてできないの~)って。靴下もBが自分で履こうと思ってる時は履くけど、私が履いて欲しいと思っている時は、私の方に足を出して自分で履かない。他の子は頑張っているのに給食のトレイもBはやらない・・・できないんだ・・・と思っていたのに、担任の先生が「お皿だけでもいい」と言うので、持たせたらちゃんとやった。

他の子と比べないで、Bができる事をやらせればいいんだなってわかった。できそうなことは、我が子はできる!って信じる事が大切なんだな~って思った。

・・・できないってママに思われている事を、子どもは敏感に感じます。ママが我が子にやって欲しいことは、お子さんの発達に応じてできるように工夫して、できると信じて応援してあげる事が大事ですね!それに気づいたママ!とっても素敵です!

③ママの愛を確認しているCちゃんに、とことん付き合いきっているCちゃんのママの話。

Cちゃんのトレーニングパンツには、アンパンマン・ノンタン・トリッピ―・しまじろう・パッコロリン・・・のママお手製のアップリケがいっぱい縫い付けられています。

1か月半ほど前はパンツを履きかえる度に、大騒動!!Cちゃんが「ノンタン~!!」と言って聞かないので、ママがノンタンのアップリケをパンツに付けて履かせようとすれば、「しまじろう!!」と言ってノンタンのアップリケのパンツは履かず・・・しまじろうのアップリケをパンツに付ければ、「アンパンマン!!」と言ってママを困らせ・・・でも、ママはCちゃんの要求(ママへの試し)に、とことん付き合いました。

そんなママの姿を見て、パパは、「よく付き合えるなぁ~俺なら切れる!」と言ったそうです。今は、ママを困らせていたCちゃんのアップリケブームは去り、アップリケなしのパンツも

スムーズに履いています。大きなママの心(愛!)に支えられて、Cちゃんは自我の葛藤の大きな波を順調に乗り越え、ワンステップアップ!成長した姿を見せてくれています。とっても素敵なママに拍手!!

④D君の安心つくりのためにとことん付き合いきったママの話。

1年前・・・「家を出るまで1時間。玄関まで10分。車が発車するまで10分。ついて車の中で10分。やっと楡に着いた。今日は途中でもう帰ろうかと思ったけど、付き合って少しずつ来た。」そういって玄関からホールへと少しずつズリズリとホールへ移動するママとD君。担任は、D君の好きな動物のぬいぐるみを持ってきたり、スーパーボールを転がしてクラスの方に誘いました。D君はボールを転がしたり拾ったり・・・遊びながら泣かずにクラスの部屋に入ることができました。(玄関からクラスまで10分・・・)「今日は園に来て良かった。このDの笑顔見れたから。良かった!」・・・ママはそう言ってにっこり。

ママと離れる事への不安がとても強くて、それが不安で登園が大変だったD君に、D君のペースで安心を作ってきたママ。今では、以前よりスムーズに登園し、ママと分離の活動中も笑顔で過ごしています。

⑤お見事!E君の困った行動を困らない行動(無害な行動)にしたママの話。

E君は、ママが着ているお気に入りのコートの大きめのボタンが気になって、引っ張るようになりました。

ママが「ヤメテ~」と言っても、一向にやめません。そこで、ママは石川院長の本に書いてあった事を思い出し「ボタンを押して~押すならいいよ~」とE君に言ってみました。・・・大成功!E君はボタンを引っ張るのをやめてピンポン押すようになり、ママの困りごとは解消したそうです。

引っ張るのはボタンが取れるので困り事だけど、ボタンを押しても取れることはないですものね・・・。

E君の行動を否定せず、「ダメ」と言わずに、「押すならいいよ」と困らない行動の代替案を提案した=「やっても無害」を作ったママは素晴らしい!・・・ママの勝ち~!

⑥「子どもだけじゃない」心にしみるママの話。

帰りの園バスの中でのエピソード。職員が「ママはF君のことを、本当にしっかりわかってあげてるよね」・・・との声かけに、F君のママが言いました。

「わからないから、わかってあげたい。わかってあげたいから、どうしたらいいか考える。パパは私と結婚して良かったって。他の人とは結婚できなかったって。男の人って勝手。イラッとくるときもあるけど、まあいいか~って。パパの好きな物は、Fと同じハンバーグ。好きな物作ってあげたら喜んでる。子どもも大人も同じだよね・・・」と。好きな人に好きな物を作ってあげる。好きな人の好きな物を理解して応じてあげる・・・わかってあげる事の喜び、わかってもらう事の喜び・・・子どもだけじゃなくて、人はみんな・・・ですね。