(28)楡の会こどもクリニック通信第28号(2015年7月)
2015.12.24

「てんかん」の治療とくらし 須藤 章
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楡の会こどもクリニック通信第28号(2015年7月)

「てんかん」の治療とくらし

楡の会こどもクリニック

須藤 章

(2015年4月 楡の会に着任)

 

はじめに

 平成27(2015)年4月より、楡の会こどもクリニックの医長として勤務している須藤 章(すどう あきら)です。札幌市(東区)生まれで、北海道大学医学部を平成3年に卒業後に小児科医になり、日本小児科学会専門医と日本小児神経学会専門医・評議員、日本てんかん学会専門医・指導医などの資格を有しております。楡の会では、これまでの北大病院や市立札幌病院などでの経験を生かしつつ、様々な疾患を持ちながら在宅で頑張っておられる患者さんやご家族のために精一杯頑張りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
 今回は、先日の平成27年7月4日に、楡の会後援会主催の講演会において、「てんかんの治療とくらし」という題名で講演をさせて頂きましたので、その内容をお伝えしたいと思います。

  • 1.「てんかん」について

 てんかんは大脳神経細胞の突然で過剰な興奮に由来する、反復性発作を主徴とする慢性疾患で、100~200人に1人の頻度で、7~8割は小児期に発症します(高橋幸利 小児てんかん診療マニュアル2006)。すなわち、てんかんは子どものうちに誰でも突然発症することがありえる、ごくありふれた病気です。様々な原因で発病し、様々な発作症状を示し、様々な経過をたどります。重要なのは、てんかんの分類を正確に行うことと、日常生活をうまく送れるように適切な治療と指導を行うことだと考えています。

 てんかんの病気を持っことで、能力が劣っているということは決してありません。例えば歴史上の人物では、ナポレオン(フランスの革命家で軍人:1769-1821)や、ゴッホ(オランダの画家:1853-90)、ドストエフスキー(ロシアの小説家:1821-81)は、てんかん発作があったことが記録されておりますし、最近ではジョイナー(米国の陸上選手で女子100-200メートル世界記録保持者;1959-98)やタメット(英国の暗唱記録保持者:1979-)も、てんかんを持っていました。

 てんかん発作は、その症状から、部分発作と全般発作に分けられます。部分発作には、意識の保たれる単純部分発作と、意識が曇る複雑部分発作、そして部分発作から全身痙攣などに発展する二次性全般化発作があります。一方、全般発作には、強直間代発作と脱力発作、動作が止まって何秒間か意識消失する欠神発作、体の一部がビクつくミオクロニー発作、短く四肢を突っ張らせるスパズム発作があります。

 てんかんには、その発病時期や発作症状の特徴などによって、症候群分類がなされており(例えば、乳児期にスパズム発作が連続的に出現する点頭てんかん=ウェスト症候群や、幼児期以後に眼球が片側に寄って嘔吐を特徴とするパナイトボーラス症候群など)、それにより治療方針や今後の見通しが立てられます。全てのてんかんを何らかの症候群に分類できることは難しいため、おおざっばな分類方法として、病因から脳に明らかな異常を認める症候性てんかんと、異常はないが体質的に発作が出やすい特発性てんかんに分ける方法と、発作症状や脳波所見から全般てんかんと部分(焦点性あるいは局在関連)てんかんに分ける分類方法もあります。

  • 2.他の疾患と「てんかん」との関連

 重症心身障がい児では、てんかんの合併が60~70%で、一般人口の罹患率(0.5~0.9%)の約100倍の高頻度です。そのほとんどが脳に器質病変を背景とする症候性てんかんで、その3~4割は毎月発作があり難治でした(日本小児神経学会ホームページより)。自閉症に関しては、自閉症児130人(18-35歳)の25%が、てんかんの既往あったという報告があります(Hara, Brain Dev 2007)。その他の報告では有病率12~12% (川島英志. 波 2015.3月より)とされており、やはり一般人口よりかなり高い傾向があります。同様に、知的障害に関しては、1~3割に、脳性麻痺の場合はその3~4割に、てんかんの合併があると言われています。超低出生体重児(出生体重が1000g未満)では、3歳の時点でのてんかんの合併が3~4%台で、小学校3年の時点では約10%に上昇するという報告があります(三科 潤「低出生体重時の長期予後」2006)。染色体異常との関連では、難治てんかん患者245名中26人(約10%)に染色体異常を認めた(西田拓司ら.)という報告があり、ダウン症候群(21番染色体トリソミー)では、その5~10%にてんかんが合併しておりました(旭川肢体不自山児総合療育センター)。その場合、乳児期の点頭てんかんで発症する場合の他に、成人発症のケースもあります。頭部外傷症例では、その4~10%にてんかんを発症(東京都医学研・脳神経病理データベース)します。以上のように、脳の機能に何らかの問題がある場合、てんかんの発症可能性は非常に高まります。

 高次脳機能障害とは、記憶障害、言語障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害の5つの特徴をもつ状態で、交通事故による脳挫傷後の後遺症として問題になることが多いですが、てんかんとも関連があります(長谷川直哉. 波 2015.6月)。すなわち、てんかんの原因である脳損傷により高次脳機能障害を来す事がありますし、てんかん発作そのもの、あるいは発作後の影響で高次脳機能障害を来すことがあります。また、抗てんかん薬の副作用によっても、高次脳機能障害になる可能性があります。そのため、脳機能改善のためには、てんかん発作抑制のための治療は、もちろん重要ですが、抗てんかん薬はできるだけ脳機能に悪影響を与えない薬剤と容量にコントロールすべきです。それでも日常生活上に支障が残る場合は、リハビリ治療や社会的支援を受けることができます。

  • 3.てんかんの治療

 てんかんの治療には、内服治療と外科治療があります。内服治療は、歴史的に主役となっていた薬剤(商品名として、フェノバール、テグレトール、アレビアチン=ヒダントール、ハイセレニン=デバケン=セレニカ、工ビレオプチマル、エクセグラン)と、付加的な薬剤としてのべンゾジアゼピン系薬剤(商品名としてリボトリール、べンザリン、セルシン、マイスタン)、その他の薬剤(臭化ナトリウム、ダイアモックスなど)、最近10年間に発売された新規抗てんかん薬(商品名として、ガバペン、トピナ、ラミクタール、イーケプラ)に分けられます。新規抗てんかん薬は、当初併用薬としてのみ処方が可能でしたが、最近、ラミクタールとイーケプラは単剤でも使用が可能となりました。それぞれの薬に作用機序や有効なてんかんの種類、効果の出方に違いがあり、その特徴を熟知した上での治療が必要です。

 抗てんかん薬を服用する際には、その効果だけでなく副作用もあることを意識しなければなりません。眠気や発疹、胃腸障害は、どの薬剤にもありえますが、それ以外の副作用で抑えておくべき副作用があります。例えば、フェノバールでは認知機能低下、テグレトールは低ナトリウム血症による意識レベルの低下や発作の増加、聴覚異常、デバケン=ハイセレニン=セレニカ=パルプロ酸は肝機能障害、高アンモニア血症、食欲増加・体重増加、月経異常、多嚢胞性卵巣症候群、催奇形性、エクセグランは食欲低下、体温上昇、尿路結石、学習能力低下、精神疾患発症、アレビアチン=ヒダントールは、失調、眼振、歯肉肥厚、多毛、リボトリールやマイスタンは分泌物の増加、臭化ナトリウムは活気食欲低下、トビナはエクセグランと同様で、イーケプラは精神症状などがあります。効果が十分あって副作用が全くないのが理想ですが、ある程度の副作用があっても、日常生活には支障がなくて期待した効果が出ているのであれば、内服薬を継続することもあります。そのあたりは、患者さんと主治医との間で相談しながら治療方針を決めて行くことになります。

 抗てんかん薬内服中には注意すべき他の併用薬剤もあります。例えば、テグレトール内服中に、マクロライド系抗生剤(エリスロシン、クラリシッド)を併用するとテグレトールの血中濃度が上昇し、眠気などが強く出るかもしれません。バルプロ酸を内服中には、ペネム系抗生剤(チエナム、カルべニン、メロペン)を使用すると、パルプロ酸の血中濃度が低下して痙攣が起こりやすくなるので禁忌です。また、どの抗てんかん薬を内服中でも、痙攣を誘発させる可能性のある薬剤として、テオフィリン製剤(テオドールなど)は、避けるべきですし、眠気の出やすい抗ヒスタミン剤(ザジテンなど)も、あまり使用しない方がよろしいです。感冒時に市販薬を一緒に内服するのは多くの場合、問題ありませんが、市販薬にも抗ヒスタミン薬が含まれていることがあるので、上記の理由で一応の注意が必要です。

 テグレトールは、グレープフルーツジュースと一緒に飲むと薬剤の代謝に影響を与え、血中濃度上昇による副作用が出る可能性があり注意が必要ですが、グレープフルーツそのものを何ふさか食べる程度であれば、問題ないと考えてよいでしよう。柑橘系の果物にふくまれているフラノクマリンという成分が原因で、ハッサクやブンタンも注意が必要な一方で、通常のミカンやオレンジ、レモン、柚子は問題ないとされています。

 外科治療には、焦点切除術(側頭葉てんかんや皮質形成異常などで)、半球離断術(片側大脳半球の大きな病変がある時)、脳梁離断術や迷走神経刺激術(激しく転倒する発作が多い時)があります。

 具体的な症例ですが、ある11歳男子は8歳より突然怒るような口調で何かをしゃべり、ぼ一として反応低下する発作が頻発しました。各種抗てんかん薬内服しても難治に経過しましたが、精査の結果、てんかんの原因病巣が右側頭葉にあることが判明し、その部位を切除すること(焦点切除術)で発作は消失しました。術後に明らかな知能の低下はなく、サッカーの大会に再び出場できるようになりました。また、5歳女子は出生時に左側の大脳が脳梗塞になった影響で、幼児期に出現した点頭てんかんはホルモン療法で怪快しましたが、その後に座位で右上肢を強直し前方に倒れる発作が頻繁に出現し、各種内服薬調整でも難治に経過しました。てんかんの原因となる左大脳半球を離断する手術を行ったところ発作は完全に消失しました。もともとあまり使用しなかった右手の麻痺が強くなりましたが、四這い移動や、つかまり立ちが可能となるなど発達が見られました。別の1歳女子は1歳前からてんかん発作が発症し、次第に全身痙攣が増加し1日100回以上で倒れることも出現しました。各種内服薬調整でも難治に経過しましたが、発作焦点と考えられた右頭頂葉を切除する手術(焦点切除術)を行い、術後に発作は激減しました。左手足の軽い麻庫と言葉の遅れがあるため、当院でリハビリ中です。15歳男子は10歳時より顔を左側に向け、左上肢から全身に広がる発作のため倒れることが出現しました。各種抗てんかん薬内服で難治に経過したため精査を行い、てんかんの原因となる部位を探しましたが見つけることができませんでした。そのため、脳を直接手術しない迷走神経刺激術を行ったところ、開始後3ヶ月頃から、発作頻度は明らかに減少し、倒れることがほとんどなくなりました。刺激中(5分間に30秒間くらい)は声を出しにくい状態はありますが、問題となる副作用はありませんでした。

  • 4.日常生活の注意点

 まず最も大事なことは、決められた処方を飲み忘れなく、きちんと飲むことです。ただし、必ずしも食後である必要はありません。食事との関係よりも、服薬時刻を大きくずらさないことが重要です。通常1日2回内服の処方が多いですが、必ずしも12時間毎に内服する必要はありません。次に大事なことは、規則正しい生活をすることです。寝不足や睡眠リズムの乱れが生じないように注意しましよう。3つめには、発作を誘発する因子はできるだけ取り除きましょう。すなわち、TVゲームやビデオなどは、刺激の強すぎないものを選び、長時間にならないように注意しましよう。そして疲れたタ方に行うことは極力避け、休日の日中の時間帯の方が安全でしよう。

 日常生活で、もっとも発作を誘発しやすいものの一つが人浴です。湯船につかっている時に発作が起こって溺れ、不幸なことに死亡したケースがあります。ですので、発作が起きてもすぐに救助してくれる(顔が水面につかないように保持しつつ、お風呂のを抜くなどしてくれる)家族と一緒に人るのが安全です。ひとりの場合は、浴槽に人るのはやめて座ってシャワーにするのが最も安全でしよう。一方で、プールで水泳中に発作が起こることは少ないとされています。恐らく、泳ぐ時は元気で意識レベルも良好な状態であるのとプールの温度が高くないせいでしようか。それゆえ、日中活動中に発作が起こる可能性が高い(または既往がある)場合を除いてはプールを基本的に禁止しません。ただし、日中に発作頻度が多い場合で、本人・家族が希望する場合は、常時の監視が必要です。自転車に関してですが、日中活動中に発作が起こる可能性が高い(または既往がある)場合は、大事故につながる可能性があるので、原則として禁止です。どうしても乗りたい場合は、車道を避けて(公園などで)ヘルメット着用し、家族が同伴の上で行って下さい。成人後のアルコールやタバコですが、アルコールの過剰摂取後(直後ではなく翌日等)に、てんかん発作が起きやすいので注意が必要です。喫煙は健康にとってはマイナス面ばかりで依存性もあり、万一喫煙中に発作が起きたら、やけどや火事を招く可能性もあり絶対に禁止すべきす。

 発作が起きた時の対処法ですが、倒れて全身痙攣を起こすことのない部分発作の場合は、基本的には見守りのみでOKです。それでも長時間続き、意識が曇ってきた場合にどうするか(坐薬や注腸製剤を使用するかどうか)は、あらかじめ主治医に確認しておく必要があります。

 全身発作の場合は、発作の始まった時刻を確認し安全な場所に寝かせ下顎を持ち上げる気道確保姿勢を取らせて下さい。ロの中に、割り箸やタオル、手などを人れるのは危険ですので、やめて下さい。唾液があふれたり、吐き気を伴う場合は顔を横向きにして下さい。全身痙攣が5分間以上続いて治まる気配がなく、呼吸が不安定で顔色不良の場合は、救急車を呼ぶことを考慮して下さい。

  • 5.てんかんとともに生活すること

 発作がおきにくい生活をしようとすると、様々な制限が必要です。そして、発作がおきた場合のことを考えて、十分な監視と迅速な対応が必要です。しかし、てんかん患者さんの生活が必要以上に制限されることにならないような注意が必要です。てんかんをもっていても、本人の主体性が尊重され、自信をもって生活できるように援助することが大事だと思います。てんかんのことを学校に伝えるべきかどうかは、よく問かれることですが、学校で発作が起こる可能性があれば、原則的には伝える方が良いです。伝えることの長所としては、発作が起きた時に自宅と同じような対応(気道確保や坐薬使用など)を迅速にしてもらえることがあります。また、抗てんかん薬を内服していることによる眠気などの副作用を理解してもらえ、てんかん発作を誘発させないような対応をしてもらえるでしよう。正しい理解が広がれば、級友からも助けてもらえる可能性があります。一方で、伝えた場合の問題点としては、「てんかん」そのものに対する悪いイメージを有する偏見を持たれる可能性があります。そして、めったに起こらない危険性を理由に、過剰な制限をされたり、級友からのいじめや仲間はずれを受ける可能性もあります。以前よりは、学校側や社会も「てんかん」の理解が広がったように思われますが、残念ながらまだまだ全体に理解が進んでいるわけではないので、伝えるか伝えないかの最終判断は、ご家族に決めてもらうことになるのも、やむをえません。

 患者さんや関係者で成り立っている日本てんかん協会が発行している月刊「波」の2015年5月号「レッツ・チャレンジ」には、様々なてんかん患者さんの体験が書かれております。20歳の記念に両親と富士山登山を挑戦した話や、24歳で将供を初めて20年後にアマ2段になった話、中学時代いじめでつらかったが、高校卒業後に就職して休日は乗馬を楽しんでいること、その他、一人暮らしを始めた人や、海外へ個人旅行した人の体験談もあります。このようにてんかんがありながらも、いろいろなことにチャレンジして、生き生きと楽しく過ごしている方は大勢います。

 てんかんをもっていると、以前は様々な免許や資格を取得することができませんでしたが、今はそのような不条理はなくなりました。自動車免許も2002年の道路交通法の改正以後、「運伝に支障が生じるおそれのある発作が2年間ないこと」などの条件を満たせば、抗てんかん薬を内服中のてんかん患者でも免許が取得できるようになりました。てんかん患者が起こした残念な交通事故が最近ありましたが、これをもっててんかん患者の運転を禁止すべきという意見は間違いです。2011年の茨城県でのクレーン車による交通死亡事故では、登校中の生徒6人死亡しましたが、その時の運転手(26歳男性)は、過去10年間で12回の事故歴があり、前夜は3時間睡眠で当日は内服せずに運転したということです。また、2012年の京都祇園での暴走車による事故では、8人が死亡し11人が重軽傷を負いましたが、その時の運転手(30歳男性)は、パイク事故による脳挫傷後のてんかん患者で、事故のあった年に意識消失発作が複数回ありました。すなわち、この加害者は2人とも、運伝する資格のないてんかんの病状にもかかわらず、それを隠して自動車運転をしていたことになります。それゆえ、発作が十分コントロールされた場合され、正規の手続きに従って運転免許を取得し、安全運伝の自覚をもって自動車の運転をすることは、全く問題ありません。このような条件で免許を取得したてんかん患者の事故率は20歳台の若者の事故率より低いという試算もあります。

 てんかんに限らず、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が、2011年6月に制定されました(2016年1月施行の予定)。この法律には、全ての障害者が、障害者でない者と等しく基本的人権を享有できるように障害を理由とする差別の解消を推進することが書かれております。そして、この法律は、2014年、我が国が国連の「障害者権利条約」を締結したことがもとになっており、国際的な人権保護の約東を守る上では、大切なものです。

 妊娠や出産に関しても、てんかん患者も可能です。妊娠したら、抗てんかん薬を中止した方が良いと考えている方もいるかもしれませんが、妊娠中や分娩時に発作が起こりやすくなるため、かえって危険です。多くの場合、妊娠に気づいた時には、胎児の主要な器官は形成されていることが多く、それから薬を中止しても胎児への影響はあまり減じることはできません。抗てんかん薬によって奇形の子どもが産まれる確率が、内服しない場合(3-5%前後)の数倍高くなる可能性がありますが、大多数は何らの害をもたらしませんので、まず過剰は不安をいだく必要はありません。でも、少しでもリスクを減らす為には、できれば計画的な妊娠が望ましい(あらかじめ、より安全な抗てんかん薬に整理し、葉酸などの必要なビタミンの補給ができる)ので、主治医や専門医と相談すべきでしよう。

 てんかん患者が使える社会制度には、様々なものがあります。薬物治療や精神療法を受けている場合には、自立支援医療(精神通院医療)の申請が可能で、これにより医療費(外来治療)が健康保険で3割負担から1割負担に減免されます。また、年長者で発作のために日常生活や社会生活に制約のある場合(1~3級)には、精神障害者保健福祉手帳を申請可能で、これにより就労支援や税金控除、携帯電話や公共施設利用料金の割引等のサービスを利用することができます。

 また小児慢性特定疾患に該当する場合(乳児重症ミオクロニーてんかん、ウェスト症候群、レノックスガストー症候群など)や、難病指定に該当する場合(平成7月から、限局性皮質異形成、海馬硬化に伴う内側側頭葉てんかん、スタージウェーパー症候群なども認められました)は、入院治療が2割に軽減され、医療費の上限が所得に応じてつけられるため、経済的に助かると思います。

 障害の程度が重い場合、特別児童扶養手当(日常生活上の援助が要な20歳未満の障がい児の家族に対して)を取得することができます。1級(重度)なら51,100円/月、2級(中度)なら31,030円/月(所得制限あり)もらえますが、色々な条件があるので、区役所の福祉課などに相談して下さい。また、特に障害の程度が重い場合は、障がい児福祉手当(20歳未満の重度の障がい児に対して)や特別障害者手当(20歳以上の重度の障がい者に対して)もあり、それぞれ14,480円/月と26,620円/月(所得制限あり)支給されます。障害が重いために就業が困難な場合は、障害基礎年金(20歳時より障害ある本人に)の制度もあり、1級(重度)975,100円/年、2級(中度)780,100円/年です。十分ではないかもしれせんが、もしも認定されると経済的な助けになるでしよう。

おわりに

 「てんかん」は誰にでも起こりうる、様々な発作症状を示す病気です。内服治療や外科治療が進歩しているので、専門医の治療を受けましよう。基本的な注意を守りながら、その人らしい生活を楽しみましよう。困った時は、様々な制度や施設を利用しましよう。

 「愉の会」のスタッフは、てんかんに限らず、あらゆるハンディキャップのある方々への応援団になったつもりで、それぞれの部署で仕事をしています。障がいに関連した様々な悩みを真摯に受けとめますので、どうかご遠慮なく、お気軽にご相談下さい。

平成27年7月24日
須藤 章