臨床発達心理士 田野準子
★★★躾・我慢・・・って?★★★
『しつけ』と言う漢字は『身+美』で成り立っています。
子どもに「言ってもわからないから、叩いて教える!愛のムチだ!」という発想が『躾』の元々の意味に含まれていたとは、諸説あるとしても、到底考えられません・・・。
昨今、報道番組で「どこまでが躾なのか?」なんて問題提起されること自体が(『身を美しく』と表す躾なのに!)躾をするのに体罰を含めて考える人の多さを物語っています。親がお手本・見本を見せて子が真似ることが躾のはずなのに・・・。
「どうやって子育てしたらいいのだろう?」と悩むパパ、ママ達は『好い事作り療法』で提唱している「受容をベースにした関わり方」を実践するといい!
それが、全ての子にとって一番の幸せに繋がるのに・・・と強く思い願うこの頃です。
「受容するって、甘やかす事だろ。子どもの言いなりになったら、我儘な子に育つ!」とおっしゃるパパさん・・・。
受容が目指すものは、子どもの満足を作り、好ましい行動を作る事です。子どもが人としての基盤を作るこの時期に、受容することの心理的な効果を是非知って下さい。
お子さんの育ちゆく力を信じ、待ち、上手におだてて、褒めて、乗せて、パパ自身が「やったね!」と言う親としての達成感を味わう経験をしてもらいたい!・・・その積み重ねが、イライラの少ない楽しい子育てを可能にします。
子どもにとって、我慢は『パパは僕の事いつも分って願いを叶えてくれるから、僕もパパの言う事を聞くよ・・・』という、いわば『give&take』=分り合いっこ(愛)の上に成立します。
我慢は自己説得。思いと違っても、まあいいか~と納得・妥協できれば我慢できます。親が子に怒りの感情をぶつけたり、力で分からせようとする事は、子どもに「叩いて思いを伝えればいいんだ」と学習させてしまう事に繋がります。
・・・全ての物は、理不尽な力で上から押さえつければ、反発するか、歪んだ形になります。
急がば回れ!子どもは、将来分別のある大人になれるように、長い時間をかけて大人が受け止めて育てるべき存在です!
我慢は「大人が子どもにさせるもの」ではなく、「子どもが自分でするもの(自制心)」であることが望ましく、目指す形です。
A君、B君、C君、Dちゃん・・・パパ、ママ、職員にたっぷりと愛され受け止めてもらい育った今、自分で考えて『我慢する!』ができるようになっています。
我慢のできない自制心の足りない大人もいます・・・幼少期、たっぷり愛され受け止められて育ってきたかどうか・・・が別れ道なのかも・・・。
楡式の関わり方を知って良かった!・・・そんな日が必ず来ます。家族みんなが幸せになるために・・・『好い事作りの関わり方』を理解して、パパも実践できるようになってほしいと願っています。
★★★今月のエピソード★★★
1.安心して過ごせるようになり、思いっ切りママに甘えて自己主張中のAちゃん。
「あ~言えば、こ~言う」何でも反対の事を言いいたい時期です。
Aちゃんのママは、この自我伸長期真っ只中のAちゃんに頑張って付き合い、あの手この手でAちゃんの気持ちの切り替えを図っています。
公園遊びの日、歩かない!とゴネていたAちゃんに「あ!ダンゴ虫!見てほら!ダンゴ虫と一緒に行こう~」と、ママはダンゴ虫を捕まえてAちゃんの手の平に乗せて気持ちの切り替えを試みました。
・・・Aちゃんは遠い公園までルンルンで歩くことができました!!
またある日は、給食を「食べない!」とゴネていたAちゃんに
「それじゃあ、クイズしま~す。Aちゃん、目をつぶって~。これは何の野菜でしょうか?」と声を掛けスプーンに乗せてAちゃんの口元に運びます。。
Aちゃんは目をつぶりパクッと一口食べて「タマゴ!」と答え、その後もクイズ式で給食を6口食べ、ごちそうさまをしました。
食べる時に無理強いは禁物。全部食べなくてもいい。楽しく食べる作戦大成功!
ママの勝ち~!!
(★一般的に『反抗期』とよく言われますが、子どもの発達と言う視点で見れば『自我伸長期』なのです。大人の言うところの『反抗』は子どもからすると、「ママは何で分かってくれないんだよ!何で付き合って、満足させてくれないんだよ!ママのわからんちん!」と訴えている状況です)
2.ゴネゴネ期のBちゃん。
「買い物に行くと毎回大変。パパと一緒に出掛けた日、Bちゃんのゴネゴネに付き合いきれない~と、パパは一人でさっさと車に戻ってしまい、いっぱいの荷物とゴネゴネのBちゃんとを、ママ1人で何とかしなくちゃならなくて大変だった。」とママの話。切ない~。
ゴネゴネ期(必ず通り過ぎます!)の外出は、大変。どうしても買い物に行く時は、パパの協力が不可欠です!パパがどうしても付き合いきれない時は、せめてママの荷物は全部持って、ママを応援してあげて下さい。パパお願い!
3.大人に~しなさいって言われなくても、自分でできるようにする方法
(上手に乗せて、自分でさせちゃって、褒める)
★椅子を自分で片付ける場面で
「先生に持ってきて~って頼むの?そうなんだ。先生が椅子お片付けして~なんだ」と担任は一旦C君の気持を受け止め代弁します。
➡ C君は僕の気持はわかってもらえたと安心します。
➡ その時、傍のD君が自分で椅子を運ぶ姿を見て、指差して、即、担任は「わあ!D君かっこいい!自分で椅子お片付けしてる!etc」とC君に聞こえるように褒めます。
➡ それを見て聞いたC君はハッとして「自分も!自分でやる!」「自分も褒めてもらう!」と、自分で椅子を片づけます。
➡ 勿論!ママや担任にいっぱい「かっこいい!」と褒められ満足!
・・・友達の行動に関心が出てきていっぱい褒められたい時期には・・・間違いなく有効な上手な方法です。
※親は、怒ることなく、子にモデルになる他者の行動に注目させて、自分から望ましい行動ができるように誘う➡子は、怒られることなく、反抗することなく、褒められて満足できる・・・『好い事作り』療法の関わり方は、親子の幸せ作りの極意です。