きらめきの里・園だより 2021年8月号より
2021.08.05

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*・*・*・* 今月のエピソード *・*・*・*

 A君のお母さんは、ご親族の手伝いなどで本当に大変な毎日の中でも、『好い事作り療法』の関わり方を理解し実践して、パパの協力も得て、ずっと頑張ってきているお母さんです。

 そのお母さんから、先日相談がありました。
 「出かける時は、Aに行き先の写真を見せてアナウンスをしてきて、今までは上手くいっていたのに、最近行きたくない場所の写真が入っているのを見ると、「行かない!」と出かけるのを嫌がるようになったんです。どうしたらいいのでしょう」と。

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 『二つ先のアナウンス』は、予定を事前に伝えておいて「お約束だよ」と念を押し、予定通り出来たら「お約束守れて良い子になれたね」と声掛けを継続することで、聞き分け良い子に育って行くというものです。

 アナウンスを理解すると言うことは、今より先=未来に起こるであろうことを記憶する事です。

 「~したら~しようね」と言う言葉は、2段階の未来の記憶を作って実行することになります。
 つまり、二つ先の事を思い描き、予想し、アナウンスに応じて行動することを自分で理解納得しなければなりません。その先に、安心と『認められる』というご褒美があるから、次を期待してママのアナウンスに応じようと頑張れるようになるのです。葛藤を乗り越える事ができるのです。

 A君の場合、知恵がついて、気持ちの折り合いをつけられないほど行きたくない場所なので「行先は分かったよ。でも僕そこは行きたくないから嫌だよ」と主張し始めたということになります。
大人の例で考えてみましょう。パパが自分の趣味の買い物に「一緒に行こう」とママを誘うとします。

 ママは先ず、心の中で「パパの趣味の買い物は時間がかかるし、私の物は買えないし、行きたくないな~一人で行けばいいしょ!(怒)」と思うでしょう。

 その時、パパが「買い物に付き合ってもらうばかりじゃ申し訳ないから、買い物が終わったら、〇〇寿司に行って夕飯食べて帰って来よう!」とママに提案したとします。(こんな風に提案できるパパは素敵!)

 ママは「買い物は付き合いたくないけど、夕飯の支度をしないで済むならラッキー!まあいいわ♡」と気持ちを切り替えられるはず。更に、パパが帰宅後「今日は付き合ってくれてありがとう」って言ってくれたら、大満足。これなら、また付き合ってもいいよ♡って思えるでしょう。

 子どもの場合も同じです。アナウンスの中に嫌な場所があっても、その先に自分が好きな物、好きな事が提案されれば、「う~ん、行きたくないけど、その後に~に行けるなら(~できるなら)まあいいや。分かった行くよ」と言う気持ちを作ることができます。

 A君のママには、A君が嫌だという場所をアナウンスする時は、図星を言った後に、「~に行ったら次に(その後に)A君の大好きな事が出来るよ、(○があるよ)!」という提示・提案をする事をお薦めしました。
今までいっぱい『好い事作り』の成功体験を積んできているママは、即「やってみます!」と、おっしゃいました。

 『好い事作り療法』の関わり方の基本を利用して、上記の場合は、まず図星を言う➞二つ先のアナウンスをする➞好きな事を利用する・・・これで上手くいきます。
(子どもの気持ちに寄り添う事を土台にしているからです)

 上手くいかない時は、図星が言い足りないか、提案の魅力が不足しているか・・・です。

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 子どもが泣いたり怒ったりの状態で連れ歩く辛さ、しんどさを考えれば、親が事前にあれこれ知恵を絞ってそうならないように工夫して、子どもを乗せることができれば、親も子も楽ちん♡幸せです。

 子どもに「まあいいや~」と応じる経験を重ねさせるという事は、知恵を絞ったママ自身のスキルアップであると共に、子どもの自己説得の経験、成功体験(「今日はお出かけ一緒に行ってくれてありがとう。いい子のA君になったね」と褒められる経験)の積み重ねが、『待つ・我慢』が出来る力を更に育て、今よりももっと聞きわけ良い子に育つ事に繋がります。

 子育ては『人』育て。一大事業です。
 「好い事作り」の方法で、親自身も「やった!上手くいった!こうすればいいんだ」の達成感を、子どもと一緒に感じながら頑張ってくれることを心から願っています。

田野 準子