楡の会式療育 知恵袋⑥ ・・・あっぱれ!ママの活躍エピソード その3・・・
2016.03.22

★☆★「代弁=わかってもらえてる満足感・達成感=好い行動を作る」!★☆★

①新入りママにアドバイスしたBちゃんのママの話。

新入園のA君がこの頃繰り返し拍手するのが気になっていたA君のママに、同じクラスの先輩ママ、Bちゃんのママが言いました。「ねえ、A君の拍手は、きっと(朝の体操の)エビカニクスだよ!」

A君のママは、「あ~そうかも!なんだろうと思っていたけど、そうかもね!」

楡でたっぷり我が子のBちゃんを受け止めてきたBちゃんのママは、我が子の行動でなくっても、A君の行動からそれを読み取ることができました。素敵な会話でした。

②「言ってもわからない」とあきらめない!アナウンスすることの効果を実感したC君のママの話。

 休み明け、すっきり髪を切ってきたC君。その時のママの話です。

「この間の懇談でCが歩かなくって重いから抱っこが辛い・・・って担任の先生に話して、その帰り道、バスから降りて抱っこを求めるので「曲がり角まで歩いたらね」って言ってみたら、歩いたの!約束なので角まで行って抱っこして、しばらくして重いので「C君、ママCが重いから疲れたから歩いて」って言うと、ギャーって言うかなと思ったら言わないで、すたすたと歩いてその後も歩いた。わ~すごい!と思った。

そんな事もあった後だったので、パパは無理~と言ったけど、もしかしたら・・・と、事前に美容室見て回って感じのいい女の美容師さんのお店を予約したの。事情を言ってね。

前日に、「あした美容室に行って髪を切るよ」ってCにアナウンスして、その日行くときもアナウンスして、ダメだったら仕方ないや~と思ってたけど、いつか絶対行くところだから慣れたらいいな~って、ちょっとだけ髪を切ったりして家で美容室ごっこやったの。美容室に行くと、「一人で座れる?」って言われたけど、ダメだったから私が抱っこして切ってもらった。最初はCは体を引いてたけど、慣れてきて大丈夫ってわかったら、もう大丈夫で・・・。もう大丈夫だと思う。」そう話してくれました。

ママがC君にわかってもらいたいと思い、言葉で説明、アナウンスしたことが、しっかりC君に伝わって、応じてもらえた訳です。

言葉は学習して習得できるものです。思いを伝えるための道具である言葉を、ママが積極的に使う事が大事です。「言ってもわからない」と思わず、伝えることが大事ですね。あっぱれC君ママ!

③「きた」「とって」が言えるようになったD君のママの話。

D君はこの頃、携帯電話が好きでパパからママに電話が来ると出たがるそうです。電話を受けてもD君は「パパ、パパ」しか言わないけれど、パパはその度に「Dは遊んでいるのか」とか「おやつ食べたのか」とか色々声かけして応じてくれるのだそうです。D君の「パパ」という言葉に、パパは意味づけして返してくれるので、D君はひたすら「パパ」だけど、とっても満足しているそうです。

そんなD君はいつも、楡のバスを見つけると「あった、あった」と言っていました。それに対してママは「バス来たね」といつも繰り返し言って応じていました。入園から5ヶ月経ったある日、「今日初めてバスが見えた時、Dが「きた」と言ったんです!うれしかった!」とママの喜びの声が聞けました。

その1週間後、「Dは、何でも「ちょうだい」って言うだけだったけど、「~取ってだね」「~よけてだね」って私はずっと言って返してた。Dが「ちょうだい」って言った時に、「「とって」って言ったらとってあげる」と言っていたら、Dが「とって」って言えるようになったの。」とD君のママは嬉しそうに話してくれました。

言葉を獲得する時期には、パパやママは一番の言葉のモデルです。根気よく継続する事が大事。

継続は力なり!!・・・です。

④親力スキルアップして退園し、女優になりきって演じたE君のママの話。

楡を退園し、幼稚園に行ったE君。ある日、E君は幼稚園のバスから降りるなり、「先生嫌い!!」とずっと言い続け、夜寝る時も言い続けていました。どうやら、バスの中で席を移動したいと言って、添乗の先生にダメと言われたのが悔しかったようだとE君のママは理解しました。

(・・・楡ではバスが止まっている時移動させてもらっていた。でも幼稚園ではダメ。これは仕方がない。集団の約束だから、それも大切だよな~。そのうちEもわかってくるだろうけど、今は「仕方ないしょ」って言っても収まらないな~)そう考えたママは、「よし、わかった!お母さんが先生に、もっとE君に優しくしてくださいって怒ってあげる!」と言って電話をかけ(るふりをし)ました。そして「E君、もう大丈夫!先生に言ってあげた!」とE君に告げたそうです。E君はママに「ありがとう」と言って、すっきりした様子で寝て、翌日は元気に登園したとのことでした。素晴らしいママの演技に拍手!

一番大好きなママに自分の気持ちをわかってもらえた!と言う思いが、E君の満足を作り、気持ちの切り替えをさせてしまったというエピソードでした。思い通りいかなくても、その悔しさをわかってもらえる人がいれば、やり過ごせる・・・大人も子どもも同じかも・・・。

⑤親力スキルアップして退園し、ママのペースに乗せちゃったF君のママの話。

楡を退園し、幼稚園に行ったF君。ゴールデンウィーク明け、前日の夜から「幼稚園に行きたくない」と言っていたF君。朝、登園の時間になって「行きたくない」と言ったF君にママは「エーッ!そんな!行きたくないって!!エーッ!行こうよ!行こうよ~」とF君を促して家を出たそうです。幼稚園では、楽しく過ごしている事がわかっているので、お母さんの勢いにF君を巻き込んで頑張って上手くいったそうです。

子どもの気持ちを受け止める事はもちろん大事ですが、子どもの負の感情に巻き込まれないで、好ましい行動を作ることも時には必要です。F君も、1年間たっぷりママに自分の思いを受け止めてもらい続けた経験があるからこそ、ママの勢いに乗せられることに応じたのだと思います。ママの技に拍手!

⑥G君の通訳がとっても上手なママの話。

今は小学生のG君。お話することが大好きで、いつもずっとG君語でしゃべり続けていました。職員には聞き取れないG君語がいっぱいでしたが、ママは、ずっとG君の通訳をし続けてきました!

園バスの窓からお店のシャッターが下りているのを見てG君が「アーミー」と言うと、「うん、そう。(お店)お休みね」とママは通訳します。G君が「アーメヤハ」と言うと、ママは「うん。ラーメン屋さんあったね」・・・という具合です。(母子通園で活動・経験の共有をしていたからできたのだと、後でママが語っていました。)

G君は、ママの通訳がなくても、先生たちに色々なことを伝えられるようになりました。「あのね、○○(弟の名前)、カエル(の帽子)かぶったの」・・・ママの通訳のおかげでG君は発音も明瞭になり、職員にもわかり易いG君語も増え、ますますお話することが楽しくなってぐんと力をつけて卒園しました。