(51)楡の会発達研究センター報告、その51(2021年4月)
2021.04.06

“好い事作り療法”ケースカンファレンス:保育園看護師研修会
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“好い事作り療法”ケースカンファレンス:
保育園看護師研修会

こどもクリニック       児童発達支援センター
名誉院長 石川 あかし     臨床発達心理士 田野準子

 保育園で働く看護師さん達の研修会で“好い事作り療法”を講演した際、募った質問に対するコメントを記載しました。
 “好い事作り療法”については、子育て親育ち読本I・II・III、楡の会のホームページの発達研究センター報告こどもクリニック通信療育ちえぶくろ、をご参照下さい。

1.3歳男児

〇自分の世界観がある。自分の中のルールが多く、お友だちと一緒に遊ぶと泣き出す事が多い。一方的な事が多く、一人で満足している。テンションが変に上がり易い。落ち着いてからは話を聞く事ができる。家族は「ちょっと変わっているんだよね♪」と思っている。職員でどのように関わって行くことが望ましいか。

 コメント

 我が強いマイペースの子ですから、先ずは「君の考えやり方を認めるよ」を子に伝えるために“図星を言う・図星を言って叱る”をした上で、児の好みの遊びを少し変えて提示し「それ良さそう、やりたい」とやって見たく成る気持ちを誘発して遊びを拡げて下さい。

 お友達と遊べるように育むには、遊び方が一緒に近く馬の合いそうな子を探し出し、その子と交わる機会を多く仕組んで、その子と仲良しに成れるように上手く煽てて下さい。

 少しでもその子と話や遊びが共有できそうなお子さんを担任が誘って、三人で遊ぶ時間を作る事を継続し、子ども同士の楽しい関係が出来るように積極的に声掛け盛り立てます。その後、徐々に、他のお子さんも巻き込んで人数を増やして集団遊びに繋げて行きます。

 例えば、仮面ライダーが好きなら、先生が悪役、悪役を退治に他の子も巻き込んで鬼ごっこの様な遊びにする。ごっこ遊びでは成り切り気分を高め易いように役の顔などをプリントして胸にテープで貼ってあげたり、新聞紙を丸めて武器にしたり工夫します。

 1人で遊ぶのも好きだけど、先生や友だちと遊ぶのも楽しいと言う経験を積み重ねて行く事が、そのお子さんの集団遊びの中での満足を作り、お友達の思いやルールに気付き、自分の思いを調整して行く力を育てるのには大切なポイントだと思います。

2.3歳11ヶ月男児

〇音に敏感で、些細な音でも普段慣れていない音だと「何の音?」と気に成り、遊びに
集中できない事がある。

 コメント

 敏感それ自体は感覚神経が鋭いのですから良い事です。問題は音の意味付けにありますので、訊かれたら直ぐに「~の音だよ」と教え、「だから、大丈夫だよ」と安心を伝える形で疑問を解消しつつ励ます声掛けをして下さい。

 音に敏感なお子さんは、怖がりなお子さんである事も多いかと思います。そんなお子さんに3歳くらいの年齢ならば「何の音?」と言う言葉を利用して、「あぶくたった」と言う伝承遊びが怖がりの軽減に利用できると思います。

〇大きな音、声に対して飛び掛って行き、他の子を押したり引っ掻いてしまう事がある。   

 コメント

 音や声を聞いて攻撃行動を取るのはその音声の意味を悪意に取る、つまり自分への攻撃と解釈するから反撃に出るという事です。ですから、「〇ちゃんにじゃないよ、大丈夫、先生が守ってるから」と説明し励まし、児に安心の心を作って下さい。
その子の動きは止めずにさっと体で間に入り「大きい音(声)が嫌だったんだよね。先生のここ(腕やお尻)エイッてして良いよ。優しくエイッてね」「もっと良いよ」と言って繰り返し叩いてもらい「あ~一杯、エイってしてすっきりしたね」と達成感満足感を作ります。

 
〇最近では、本児に引っ掻かれるのではないかと逃げ出すお友達も見られる。

 コメント

 逃げるのは“逃げるが勝ち、次があるさ”の避難行動ですから、怖がる子には逃げてもらったり、想定被害者を抱っこする成りして守って下さい。

 本児が引っ掻きに行こうとしたら攻撃行動は憂さ晴らしに相当しますので「引っ掻きたいんだよね。先生のここ、優しく引っ掻いてね、撫で撫でしてね」と言いながら御自分の手を差し出し、児の手を取って撫でる仕草を誘って下さい。こうすると“やっても無害の憂さ晴らし”を作れます。

 お友達が逃げ出すのは自ら危険回避できてるとプラスに捉たいですが、引っ掻く子が悪者に成らないように逃げ出した子に「○君、大きい音が嫌いですっごいドキドキしちゃって手が出ちゃうんだ。御免ね」と言って引っ掻こうとする理由を説明して代わって謝るのが良いでしょう。

〇初めての行動や行事、場所が苦手で「これから何するの?」とよく聞いてくる。不安のないように1日のスケジュールを細かく伝えている。

 コメント

 児の心に想定内を作ろうとする関わりは大変良いと思います。が、「1日のスケジュールを細かく伝える」点については、4歳未満児は予定を四つないし五つ一遍に伝えると短期記憶能力が未熟ですので全部覚え切れません。ですから、二つずつ順繰り順繰り伝える“二つ先のアナウンス”の方が効果的だと思います。

 また、視覚を利用した写真とかイラスト、図を順に並べて図表にしたスケジュール表を作り、その都度見てもらうのも有効でしょう。

 
〇自分の思いが通らないと泣いてパニックに成ってしまい、暫らくそれが収まらない。静かな場所に行き、簡単な言葉で丁寧に伝えても納得できない時は、気持ちが切り替わるような別の遊びに誘っている。

 コメント

 本児は我が強い、我を張る、我の量が多い子のようですから、思いが通らないと切れ易いと言う事です。ですから、「あなたの気持ちは分かってますよ。だから○○したら良いよ」の“図星を言って教え諭す(叱る)”をするのが良いでしょう。ですから、「悔しかったね。5回泣いたらすっきりするよ」と声掛けして「1回、2回。~~、5回」とカウントした後で「ほおらっ、沢山泣いたからすっきりしたもんねえ」と憂さ晴らしとしての悔し泣きをたっぷりした気持ちを作れば、立ち直りは早く成るでしょう。

☆相談内容

〇最近では、昨日やさっきなど過去に起こった友達とのトラブルを思い出し、「さっきバカって言ったから」と急に飛び掛って行く事が見られるように成って来た。急に思い出しての行動は予測がつかず、どう止めればよいのか悩んでいる。

 コメント

 フラッシュバック(突然思い出す事)にはまって自分への悪意を思い出し、つまり恨みの気持ちが湧き上がり、恨みを晴らす積りで反撃行動に出てしまうのです。

 “図星を言って叱る(教え諭す)”をして下さい。「飛び付きたいんだ、先生に来てえ」と言って進み出、同時に「優しくしてね」と言いつつ受け止めて下さい。仲間ではなく先生であれば、勢いは削がれましょう。

 一時代前は小島よしおの「そんなの関係ねえ!」を先生がやって見せ、児にもしてもらう事が“やっても無害の憂さ晴らし”として有効でした。

〇保育士が仲立ちをしてお互い謝り解決したトラブルに対して、まだ気持ちが治まらない為にこのような行動になってしまうのだとしたら、どのように、対応するとよいのかアドバイスをお願いします。

 コメント

 「分かってくれてる人は良い人だ、信頼できる、味方だ。だからその人の言う事を聴こう」と言う気持ちを作るために“図星を言って叱る(教え諭す)”の繰り返しが肝要です。

 子ども同士のトラブルの仲裁は、その二人にとって信頼している職員がするのが一番です。仲裁する人が、どちらかの味方になっていると感じたら、他方は「先生は○○の味方に成ってる、どうせ僕なんて」といじけて恨みの気持ちを高めてしまう事もあります。仲裁する人は中立が大事です。難しいですが、仲直りできたと言う成功体験を作るのがトラブル予防策です。

3.4歳女児

〇こだわりが強い。寝る時に、赤ちゃんの頃から使っている毛布がないと眠れない。職
員でどのように関わって行く事が望ましいか。

 コメント

 こだわりはそれが良いからで、嫌な物に拘る人はいません。ですから、その毛布はこの子にとっては安心グッズなのです。

 「どんどん毛布から安心貰おうね」「毛布があれば大丈夫、寝れるもんね」と言って安心グッズである事の認識を深め、洗わなければならない時は、同じ柄あるいはそれに近い毛布を用意し、徐々に掛け換えます。始めは安心グッズの毛布を2/3掛け、残りの部分は別な毛布にし、「おんなじ、おんなじ」と声掛けながら二刀流に慣れてもらいます。こうして本人に気付かれないように少しづつ別の毛布の面積を拡げて行くのが良いと思ます。本人に気付かれないように「おんなじ」をしっかり強調するのが味噌です。

4.4歳1ヶ月女児

〇自分の気に成る事があると前にお友達やおもちゃがあっても踏みつけたり、蹴飛ばして行く。うれしい時や、楽しい時に犬の鳴き声のようなキーキーとした声をあげる。全体での指示が理解できていない事が多く、「今は何の場面なのか?」を尋ねても全く見当違いの返事が返って来る。

 コメント

 自己中心性が強く思い立ったが吉日タイプなので、マイワールドに入ってしまい易く、入ってしまうと聞く耳が薄れて自分に言われているのに気づかない。ですから、全体への指示に際しては始めに「〇ちゃんも聞いてね」と個別に注意を喚起してから、離れた所からの声掛けでは無効な場合は傍まで行って「先生見てね」と注意喚起して声掛けして頂きたい。

〇抽象的な質問に答えられない。サンタさんに何もらうの?に対して「サンタさん来るの・・・」、プレゼント何欲しい?に対して「プレゼント・・・」。

 コメント

 誰でも、5W1H (What, Where, Which, When, Who, How )、つまり、何? どこ? どっち? いつ? 誰? どうして? のみでわれたら、答えづらい事があります。

 例えば、「今日の朝ご飯何、食べた?」と夕食前に訊かれたら、直ぐには思い出せない事がありますから、5W1Hに2択を加えて下さい。

 「朝ご飯何食べた? 卵焼き? 納豆?」と訊かれた人は、2択の言葉を比較研究しながら思い出す形に成るので、頭の中で、卵焼きじゃない納豆じゃない、と吟味し、「卵掛けご飯と鮭」と答え易く成りましょう。

 「サンタさんに何もらうの? お人形? お菓子?」「プレゼント何欲しい? アンパンマン人形? ドキンちゃん?」など2択で訊けば、児は答え易く成るでしょう。

〇怒られる時に全く目が合わず、「はい」と一本調子な返事になり、「ごめんなさい」と機械のような話し方をする。このときにはこう答えるというパターンで返答しているよう。友達と関わって遊ぶことがほとんどなく、ものを共有するだけの平行遊び。会話も一方的。自分の思いと違う場面にあうと友達を突き飛ばしたり、叩いてしまう。

 コメント

 発達がゆっくりそうなので、我慢の心が未熟な子でしょう。「突っ付きたいんだね、優し
くね」の声掛け、「叩きたいんだね、これ叩いて」と言ってクッションを差し出し、“やっても無害の憂さ晴らし”を作って下さい。

 また、“良い子の〇ちゃんに成ったね・良い子の〇ちゃんどこ行った?」の声掛けして我慢の心のもとである“良い子意識“を育てて下さい

☆相談内容

〇先の見通しをもって行動できず、危険な事(高い所、道路の端)も平気で行く。自分で気をつけて生活できるようにどう伝えたら良いか。I

 コメント

 落ちても大丈夫なように廻りにクッションを置いた危険でない“マイ高い所”を作って下さい。高い所に上がろうとしたら、マイ高い所に連れて行き「ここ上がろう」と勧め、上がったら「上がれて良かったね、おもしろいでしょ、そこ良いでしょ」と満足感達成感を作って「また今度もそこ上がろうね」」とまた上がりたくなる気持ちを作れれば、自発的に“マイ高い所”に上がるように成りましょう。上がっても良い場所を学んで覚えて貰えるようにして下さい。

 幼児が危険をするのは本人に取ってはそれが良いからです。良い事にはまるのはブームと思って下さい。ブームはやり尽くしたと思えば去ります。禁止されたらもっとやりたく成ります。たっぷりやった感を作ればブームは去ります。

〇会話に手答えがない感じがある、言葉、行動、善悪、危険などのつながりを理解してもらうには、どうコミュニケーションに工夫すると良いのか。

 コメント

 言語療法としての“図星を言う”、“分かってもらえてる感”を作るための“図星を言う”を頻繁にして下さい。良い子意識作りも肝要です。

5.4歳7ヵ月男児

〇乗り物や野球が好きでとても詳しいが話し方が一方的。好きな事をしている時、好きな物について話している時は生き生きとしているが、日常の生活の中では表情が硬く少ない。あまり感情の起伏がないが、気に成った事をずっと訴え続けたり、気に障るとしつこく言い続ける姿がある。新しい事に抵抗があり、新しい衣類や衣替えなども激しく嫌がる。偏食が激しい。

☆相談内容

〇少しずつ友達と一緒に積み木やボールで遊ぶ姿も見られるが、あまり会話はなく友達に対してのルールの指摘、指示のやり取りが多い。お友達と遊んで楽しいという体験(感情の交流)を体験させて上げるにはどのように関われば良いかアドバイスをお願いします。

 コメント

 本児は、自己中心性が強い、俺流でやりたがる、我が道を行くタイプの子です。はまればちゃんとやるけど嵌らなければやらないタイプ、嵌ってしまったら変化を嫌う子です。

 新しい物に抵抗する場合は新旧の共通性を強調し、違う物ではなく同じ物なのだと言う思いを育てて下さい。例えば、汚れたシャツを着替えて欲しい時は、「ほら、長袖だよ、だからおんなじシャツだよ」とか「ここ見て、ここ黄色だよ、黄色大好きだもんね、同じだよ」とか、ドラエモンのシャツだったら新しいシャツもドラエモンの絵柄にして「ドラエモン大好きだよね、こっちのドラエモンにしようよ」とか同じを強調して違いに気付かないようにして煽て乗せて下さい。

 偏食も同じを強調するのが大事です。カレーライスが好きな子ならルーに食べて欲しい物を始めは少し混ぜて気付かれないで食べてもらい、段々に大きくして行けば、嫌いな物も食べられている事に気付いて「僕、~食べられてたんだ」と自信を持ち、別の食べ物へのチャレンジ精神が湧き上がるでしょう。

 友達付き合いについては先ずは親友見っけです。沢山のお友達の中で何となく一緒にいたり、一番多く遊んでいる子を抽出して下さい。そういう子は馬が合う子と言えます。人間誰でも馬が合う人とは付き合い易いものです。ですから、その子と沢山くっつける、一緒にいるように仕組んで下さい。その子と付き合いが増えたら、その子の親友と本児をくっ付ける機会を作って徐々に増やして下さい。つまり「親友の親友は僕(私)の親友さ」の気持ちを煽てて下さい。合コンを繰り返せば集団行動が上手に成りましょう。

 好きな物があると言う事は、趣味があると言う事でとても良い事です。看護師がそのお子さんの育ちを促したいと思う時は、話が一方的であったとしてもその子の好きな話を聞いてあげる時間の確保し、例えば「時計の長い針が真っすぐ上に成るまで一杯聞かせてね」とゴールをアナウンスした上で、「真っすぐ上に成ったらみんなと遊ぼうね」と次の予定を知らせ置くのが大事です。「先生がたっぷり付き合ってくれたから、次は先生の言う事聞くよ」と言うギブ&テイクの意識、日本流に言えば「顔を立ててくれたから恩返し、今度は先生の顔を立てて言う事聞くよ」」が育つようにして行くのも方法だと思います。

 友達との交流に関しては、先生の関わり方は一緒に遊べそうな子との遊びの機会をセッティングし、それに上手く乗せちゃうのが腕の見せ所だと思います。

 感情の交流が支援したい課題なのですから、遊びに乗って来たら「楽しいね」「~ちゃんと仲良し、うれしいね」「いっぱい遊んだね、楽しいね」など感情語を連発して児にその気に成ってもらえるようにおだてて下さい。時間・空間を共有し、共に過ごす、共に遊ぶの楽しさをあおって下さい

6.5歳男児

〇気に入らない事があると物を投げたり、友達を引っ張ったりする事があり、その際、保育士の言葉だけで収まらず、(保育士の声が耳に入らない様子)保育士が止めようとすると爪を立てて反抗する。どういう対応をすれば本人も落ち着く事ができるのか。

 コメント

 我慢作りのための“良い子に成ったね、良い子どこ?”を沢山声掛けして下さい。
 頭ごなしでなく、ダメ出し先行せず、“図星を言う”をして聞く耳を作ってから、「~すれば~の方が良いよ」とやって欲しい事の手本、つまり「~~」を言って聞かせ、その真似を促して下さい。手本を真似して学びは進みます。“図星を言ってから教え諭す(叱る)”を繰り返して下さい。

 その子が「爪を立てて反抗」していると言う捉え方をしていると、子どもは『先生は、僕の気持ちわかってない。何でこんな悔しいのにダメって言うんだよ』と恨みが募って行くでしょう。だから「引っ掻きたいんだよね」と図星を言って“聞く耳”を作って長袖を来ていたらそのまま、半袖だったら腕にハンカチを巻いて差し出し、「優しくしてね」と言いながら御自分の腕を軽く引っ掻いてやって欲しい事を示し、布の上から引っ掻いてもらって“やっても無害の憂さ晴らし”を作って上げて下さい。

〇集団で行動することを嫌がる。好きなおもちゃ、好きな友達がいる時は一緒に遊べる
が、給食、トイレ、など集団での活動に参加できない。例えば、「踊りに参加しよう」「いやだ!行きたくない!先生嫌い!」「(お昼寝終わりに)起きて着替えよう」「いやだ!着替えたくない!」、誘うと否定するのが言葉と行動のクセのようになっている。

 コメント

 「いや」が枕言葉(意味のない反動付けの言葉、「セエノッ」と言ってから持ち上げる場合、「ヨイショ」と言って立ち上がる場面)に成っている場合。或いは「いや」がブラックユーモアの場合、つまりネガティブな言葉で相手の注意を引いて自分の主張を聞いて貰おうとする場合がありますので、「嫌なんだ、嫌なんだ、でもやろうよ」と茶化し気味に誘うとこちらの言う事を聞いてくれてしまう事もあります。“今泣いたカラスがもう笑った”を作れると良いですよね。

〇集団に慣れるには? 

 コメント

 馬が合う子と一緒に居る機会を増やして親友作りをし、親友を起点として付き合える仲間を増やすようにして下さい。「僕の親友の親友は僕の親友さ」を作って下さい。

 親友は4歳以降の子がする社会的学習“人の振り見て我が振り直せ”の機会を増やします。

7.自傷する子

〇自閉症で頭打ち(自傷)する3歳半の子が、大分自傷が無くなって来たと思っていたら、最近又ひどくなって、どうしたら良いのでしょう? お母さんは最近下の子を出産したとの事でしたが・・・。

 コメント

 自傷は「自分の事をもっと見てよ、かまってよ」と言うアピールである事があります。 図星つまり「頭バンバンしたいんだ」を言ってからクッションとか、固くない頭大あたまだいのボールとかを差し出して「ここなら良いよ」と言って叩いてもらい、“やっても無害のアピール”を作って下さい。

 下の子への嫉妬しっとがある筈ですから、「ママの代わり、〇ちゃん大事大事、ハグしよう」と誘って抱きしめ、代理母を演じて“安心作り”を図って下さい。

8.かじる、引っ掻く、叩く子

〇先生たちに対してもかじる子、引っ掻く子、叩く子は、たくさんいると思うけれど、どう対応しているのですか?

 コメント

 基本的には始めの内は「~が、嫌だったんだよね」と“図星を言う”を続けながら、子どもが齧ったり、引っ掻く事も拒まない、怒らない、動じない、と言う関わり方をします。その間、職員は傷だらけに成る場合もありますが、必ず図星を言い続け対応します。

 顔を引っ掻かれると危険な場合もありますので、それを避けるため腕やお尻を出して、「ここならいっぱい良いよ」と代わりの場所・部位を示したり、タオルを示して「これならいっぱい噛んで良いよ」と代替になる物を提示する方法もあります。

 子どもにとっては「先生は怒らないで、(僕の)気持ちをちゃんと分ってくれているんだ」と、その子との信頼関係を築く土台に成り、土台ができると齧ったり引っ掻く事はなく成って行きます。

 但し、特に噛む行動を許す場合は、その子が「自分(=先生)の肉を引きちぎるほど噛む事はしない=憂さ晴らし・試し行動としての行動だ」と言う確信・判断の元ではありますし、 噛み跡を見せて、「ほら、〇ちゃんが噛んだ跡がついちゃったね。よしよししてね(してくれたら➞『もう痛くなくなったよ。ありがとう』➞遊びに誘う)」と言う様な、行動の後のフォローもとても大事に成ります。

9.お昼寝をしない子

〇自閉症の睡眠障害のある子が、お昼寝をしないので困ります。お昼寝の時間に、どうしたら寝るでしょう?

 コメント

 お家で寝る時に安心して寝るための安心グッズを母に探してもらい、それを園に持って来て、お昼寝の合図にする習慣を作ると、安心が出来てお昼寝が出来るようになる可能性はあると思います。安心グッズを見つけるために試行錯誤は有り得るでしょう。

10.保護者への怪我の説明

〇子ども同士の怪我(噛みあと、引っ掻き傷)を楡の会では親にどう説明しているのでしょうか?

 コメント

 担任は入園時に、クラスの保護者に子ども達はそれぞれに課題を持って入園して来ている事、をお伝えしています。

 ですから、引っ掻いた子の親にも、引っ掻かれた子の親にもお詫びと共に、その状況をお伝えしています。我が子が痛い思いをした場合、親としては時に穏やかな気持ちではいられない事もありますが、親同士で(子どもの代わりに)「ごめんなさい」「いや、このくらい直ぐ治るから大丈夫」と話し合って、解決してくれています。

 但し、保護者の性格・特性によっては特定の子の名前は言わずに「お友達が」と言う説明でお詫びする場合もありますので、ケースバイケースです。