きらめきの里・園だより≪エピソード集≫ 2020年1月号より
2020.12.26

臨床発達心理士 田野準子・保育士 阿部 智恵美

 新年あけましておめでとうございます。

2020年も児童発達支援センター職員一同、全力で日々の療育を行い、お子さんの健やかな成長と保護者の皆さんの子育ての応援をしていきます。本年もどうかよろしくお願いいたします。

4月に35名でスタートしたきらめきの里は48名になりました。

継続して通園しているお子さんたちは「好い事作り」の療育で、グングン成長する姿を見せてくれています。

年度の途中から入園のお子さんのママ達は、先ずはたっぷり我が子と一緒に活動を楽しみ、我が子の気持を十分に受け止めて、ママが我が子の図星を言い当てる事を頑張って、それを継続してください。『継続は力なり』です! 

日々の通園と子育てが、辛くて先は長いし大変すぎる~と思っているママがいたら・・・「大きくなってから聞く耳を持った子に育てようとしたら、今の100倍大変!・・・今なら将来の100分の一の頑張りで変えられるんだ!」と前向きに考えて、頑張りましょう!

危険な状況でない限り、大人の目線で制止、否定しないで

① 子どもの思いを想像し察して言葉にして「~だね」{~だったね}と、子どもに伝わるように声掛けましょう!

② 次に「~しようね」と『好い行動』を提案する・・・が基本です。これをマスターして親力アップして下さい!

★今月のエピソード★

1.わかってもらえてるって大事

・・・思い通りにならなくても、聞き分けの良い子になれる❤

11月の園外療育で、フードコートで外食体験をした時、大好きなマクドナルドのポテトを目の前にしても口にしようとしないAちゃん。お母さんは「どうしたのかな」とちょっと心配な表情をしていました。

担任がAちゃんの側に行くと、小さい声でAちゃんが何か言いましたが聞き取る事が出来ませんでした。

そこで「ごめんね。聞こえなかった。何か食べたい物があるんだね。先生を連れてって教えて」と手を差し出すと、Aちゃんはまっすぐに店の前に行き大きな声で「シュワシュワ」と言いました。

担任が「そっか~!ジュースが飲みたかったんだね。お母さんに聞いてみよう」と席に戻りお母さんにAちゃんの言葉を伝えました。

お母さんは「今日はもうジュース飲んだから、おかわりはおしまいだよ」と言いました。担任が「ジュースはもうないんだって。ポテト食べる?ご馳走様してお片付けする?」と聞くと、Aちゃんがお盆を持ったので「お片付けするんだね。わかったよ。こっちに片付けようね」と声を掛けると、Aちゃんは自分で片付けをする事が出来ました。

『本当はジュースが飲みたいけど、おかわりないってママが言ったし、ポテトは食べたくないのもわかってもらえたから、まあいいや~先生と一緒に片付けるよ』と聞き分けの良いAちゃんになれたのでした。

※先ずは図星を言って『わかってもらえている感』を作って、それから「~しよう」の提案・・・聞きわけの良い子を育てるための基本です。

2.目と耳両方を使うと伝わる・・・視覚、聴覚一緒のアナウンスは分り易い

園外療育に行った時に遊んでいたBくんに「トイレに行こうか」と声を掛けましたが、他の事に注意が向いていて担任の声が聞こえない様子でした。

そんなBくんの様子を見て、外出先の施設内のトイレに誰も居ない事を確認し、提示用の便器の写真を撮ってきました。

そして、Bくんと視線を合わせ、先ほど撮った写真を見せて「Bくん、トイレに行きます」と声を掛けました。

トイレの写真を見るとBくんはうなずき、担任と手を繋いで落ち着いてトイレに行く事が出来ました。

伝えたい事は、視覚聴覚利用して子どもが納得できるように伝える事が大切です。

保育士 阿部 智恵美

3.行動には理由がある!・・・を信じて子どもの行動を観る・代弁するって大事!

昼の体操が終わると、急に走って行ってピアノに上ったBくん。

Bくんを制止せず「そうだよね。もうこの時間はこれ(CDのデッキ)はお片付けだもね」と直ぐに図星の声掛けをしたお母さん!

職員が「教えてくれてありがとう。お片付けするね」と言い片付けると、Bくんはすぐにピアノから降り、安心してまっすぐクラスに戻りました。

『行動には理由がある』と信じて、我が子の行動の意味を察して代弁してくれるお母さん!Bくんは、「わかってもらえて」し・あ・わ・せ❤

 ★★★ 『聞く耳』を持った子に育てよう! ~そのために~ ★★★

楽しい事、好きな事の「終わり」の気持の切り換えをスムーズにするためには、様々な方法がありますが、事前の『アナウンス』と『カウントダウン』は、確実に有効な方法の1つです。

例えば、C先生は、クラスの活動の終わりにこう声掛けます・・・

「あと10数えたら終わりで~す。10ゆっくり数える間いっぱい遊んでね~」

「~10!お~し~まい!」と言い、次に

「いっぱい遊べて良かったね。楽しかったね~また今度ね・・・」と声を掛けて、

子ども達に『いっぱい遊んだ!』満足を作ります。

(※積極的に満足を作る声かけをする=満足した気持ちにさせる=積もりを作る)

そして『次の行動のアナウンス』として「トイレに行って、手を洗ってホッペの準備します~」と声を掛けています。

・・・こうした声掛けには、どういう意味があるかと言うと・・・

「~して~したら~するよ」「~になったら~するよ」と言う事前の予告は、時間の感覚が未熟な子ども達でも「~するんだ!」と言う『想定・見通し』を心の中に持たせます。

『想定・見通し』が持てていれば、「~するよ」「おしまいね」「帰ろうね」という言葉は『想定内・見通しが持てている言葉』なので、気持ちの切り替えがし易くなるのです。

事前にアナウンスしておいて、時には「お約束ね!」と念を押して、約束が守れたら「約束を守れたね!かっこいいお姉(兄)ちゃん(いい子)になったね!」といっぱい褒める事が大事です。

①事前のアナウンス→②約束→③満足の声掛け→④できたら褒める

・・・この流れが普段から出来る環境にして、積み重ねると。子どもは必ず!!聞き分けが良くなります!

これを実践してきたママ達は、自分も我が子も成長し、子育てが(1年)前よりも楽になったと感じています。

臨床発達心理士 田野 準子